日本の他国に比べたエネルギー効率の高さはこの期間の産業界の苦闘によって確立された。
九○年から二○○○年にはこの弾性値は一・三八と急増する。
八○年代前半は○・一二。
バブル経済に浮かれた八○年代後半は○・七七と増加していた。
九○年代は経済成長に関係のないエネルギーを大量に使う社会に変化した。
ごとの使用量を、二○○一年まで四年間、全国三○○世帯の組合員を対象に調べた。
政策企画部によれば、「家族構成の変化で、エネルギー消費が増えている可能性がある」という。
調査によれば、二○○一年の単身世帯の一カ月当たりの電力使用量は一六一キロワット、ガス使用量は同三○立方メートルだった。
四人世帯では一人当たりに直すと電力八九キロワット、ガス一○立方メートル。
以下、家族の構成人数が増えるに従って、一人当たりの使用量は低下する。
当然のことだが、共用部分があれば一人が使うエネルギーは減る。
国勢調査によって、九○年と二○○○年の人口構成比を比べると、世帯数は四○六七万世帯から、四六七八万世帯に増加。
その主因は単身世帯が九三九万世帯から一二九一万世帯に増加したことだ。
また単身世帯と核家族(二人)の割合は一九九○年に約四割だったのが二○○○年には半数を超えた。
また生協の調査は、A「三○歳代夫婦と子供」(家族数は平均四人)、B「四五〜五四歳の夫婦と子供」(家族数は平均三・九人)、C「五○歳代以上の夫婦のみ」についてエネルギー消費の調査を行った。
この中でガス使用量では意外にもCが最も多い。
また、電気使用量ではBが最も多いが、AよりもCが多い。
夫婦二人だけの生活になってもエネルギー消費は減らない。
家から子供が独立しても、残った夫婦は同じ広さの家で、やや古くなった家電製品に囲まれ、以前と同じ生活をしている姿が浮き彫りになる。
運輸部門では自動車の増加が著しい。
自動車保有台数は九○年三月末には五七九九万台、乗用車保有台数は三二九三万台だった。
それが二○○○年三月末にはそれぞれ、七五五二万台、五三二万台、二○○二年三月末で七六二七万台、五三四八万台に増加した(注三)。
不況の影響のためか、九五年から乗用車、貨物用自動車の伸び率は鈍化しているものの、自動車が社会に一段と定着したことがうかがえる。
二○○○年までの一○年間に技術の向上によって自動車の燃費は三%ほど改善された。
しかし、数量の急速な増加がガソリン、軽油を一段と消費する結果をもたらした。
現在の統計で家庭のエネルギー使用の増加要因を分析した場合に、「どのようなエネルギー源(電力、ガス、灯油など)によるものか」、「人口や世帯数の変化による影響」、「核家族化など世帯構成の変化の影響」などが分かる。
しかし、「家電機器の数の変化」、「家電、乗用車などの使用方法」、「家電や住宅の省エネ性能による影響」といった原因までは、家庭ごとには分からない。
その結果、「なぜ住宅でのエネルギー消費が増加するのか」との疑問を解明しつくすことは難しい。
しかし、民生・運輸部門の増加の理由には不明な点も多い。
埼玉大学経済学部の外岡豊教授と、東北芸術工科大学環境デザイン学科の三浦秀一助教授は、日本の住宅のエネルギー消費構造を分析した(注四)。
そこで、一九九○年から二○○○年における各都道府県の住宅部門でのエネルギー使用量の増加率を推計した。
これによると、増加率トップは宮城県で四四%となっている。
その他、秋田、山形、滋賀、香川の各県も四○%を超える増加率となった。
ただ、結果は明らかでも、「増加の理由には不明な点が多くあります。
なぜこれらの県が多いのか説明しきれません」(三浦助教授)とここで問題に直面する。
個人の生活をどの程度まで、国が規制することが許されるのか、画研究所の中上英俊所長は「統計がほとんど整備されていません」と指摘する。
九○年代は経済のサービス化が一段と進展した。
その結果、業務用民生部門のエネルギー消費が増えたことは明らかだが、個別の業界、団体・企業までの把握は行えない。
「統計では学校や病院といった公的な分野が計上されます。
一方で、サービス産業でも、成長する業種もあれば、消費不況の打撃を受けた百貨店業界などの業種もあります。
データがなければ、対策は立てられません」と中上氏は語る。
民生・運輸部門のCO2増加は、国民一人ひとりの行動の影響が大きい。
だが、現時点で、個人や企業は自らのエネルギー消費の抑制や、CO2の削減を義務づけられていない。
また、個人では自分のCO2の排出量を測定することは困難だ。
他人と排出量を比べ、自分がエネルギーの無駄遣いをしているのか、節約をしているのかさえ分からない。
「誰もがCO2を減らすことには賛成しますが、排出源である自分が何をしたら、どのような効果があるのか分からないというのが実情ではないでしょうか。
『総論賛成・各論不明」といえる状況です」と三浦助教授は指摘する。
という問いかけだ。
ここに、民生・運輸部門の削減対策の難しさがある。
日本のメーカー各社の家庭用電化機器のエネルギー消費効率、自動車の燃費は世界でもトップクラスだ。
そうした技術力を生かしながら、民間企業が企業努力によって、製品を売って利益を出すことは、資本主義経済の上で非難される筋合いのものではない。
また美しい建築物と照明を使って企業が販売活動を行うことや、ホワイトカラーが冷暖房を完備したオフィスで能率的に仕事をすることを止める理由はない。
また、消費者が電化製品を購入・利用して快適な家庭生活を送り、ドライブを楽しむことも当然の権利だ。
一九九○年代を通じて、日本では一段と物質的に豊かになり、その結果としてエネルギー消費と、CO2の排出が増えたことは間違いないだろう。
住環境計画研究所の中上所長は各国の家庭でのエネルギー消費動向を調査しているが、同期間に家庭民生部門のエネルギー消費が急拡大したのは、日本しかないという。
「テレビが三台以上あり、すべての部屋にエアコンがついている家は日本では珍しくありませんが、世界の中では例外的です。
ここまで豊かになる必要があるのか、日本人は自らの生活の姿を立ち止まって考えるべきときに来ています」と中上所長は指摘する。
物に囲まれた生活だけでは幸福はつかめない。
この事実には大半の人が同意する。
しかし、実際にCO2を減らすことを意識して物を減らした生活に踏み出す人は少ないだろう。
そして、日常の何げない行動が生活でさらなるエネルギー消費を生んでしまう。
例えば、二○○四年に各家電メーカーが積極的に販売を行っているプラズマ・ディスプレイ型のテレビ。
画像の美しさを強調するこの種類のテレビは、電力を大量に消費する。
国際競争の中でも、高い技術力を生かした日本の家電メーカーの独壇場だ。
これを比較してみよう。
画像面一四インチ型の小型テレビでは、年間電力消費量は五○キロワットアワー(kWh)程度だ(注五)。
一方、ある会社の五○インチ型の大型プラズマテレビでは、同九七四kWhとされ、年間のCO2排出量は小型テレビの二○倍近くになる(注六)。
きゅうりは夏が旬の野菜だ。
しかし、今は一年中食べるようになった。
冬のきゅうりはビニールハウスで暖房をして育てる必要がある。
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